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”またしても”なんですが、偏屈なSSWものをレーベルからリリースします。
今回は「公衆道徳」という韓国のSSWです。
SSWと言っても、正統派SSWではなく、むしろ本人のメインはクラブミュージックっぽいです。
普段、低音がズンズンいっている音楽(僕はそういうのはほとんど分からないので、そういう表現しかできません。悪しからず)をやっているミュージシャンが、久しぶりにアコギを引っ張り出し、公衆道徳という名義で1枚宅録で作ったというのが、今回紹介するものです。
これがまた、そんな人が作ったというのが全く信じられない驚きの出来で。
皆聴いてくださーい、というよりは、本当に音楽好き、という人にこそ聴いて欲しい内容です。
割りと興味ない人も、最初の2曲だけで良いから聴いてみてください。
下記で全曲試聴出来ます。
ここからは先ほど僕がSoundcloudに書いた長文を引用します。
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――え、これが韓国発の音楽!?
文=染谷大陽 ( Lamp / Botanical House )
時々、オススメのCDを送ってくる韓国人の女の子が、ある日突然送ってきたのがこの公衆道徳。
これまで韓国の音楽に心の底から感服したことは正直一度もなかったものですから、「どんなものかな」と、まあそんなに期待して聴いたわけではありませんでした。
CDを再生。
1曲目、そして、2曲目。。
スピーカーの前に釘付け。
冒頭の「白い部屋」から最後の「結び目」まで、
全く隙のない完璧な出来。
――「隙が無い」とか「完璧」というのは、《曲、演奏、音作り、アイディア、音楽に対する姿勢や意欲、それら全てが望ましい形でアルバムとして結実した音楽純度100%のこの感じ》、はたまた《僕が求めていたのはこういう音楽だというこの感じ》、のことです――
フォーキーながらも、変拍子と和声がストレンジで面白い冒頭曲、
2曲目の出だしで、「あれ、ロックンロールかな、、」と思ったら、すぐに流れるようなコーラスが入ってきて、そこから切れ味抜群のアコギ、モジュレーションをかけたような音程感のヴォーカルと続き、ここでノックアウト。
これはすごい作品に違いないと確信しました。
初めてこのCDを再生し、3曲目半ばで、僕はその子に、その感動と公衆道徳に関する質問をぶつけるメールを打っていました。
全ての瞬間がとにかく凝ってるのに、全く嫌味ではなく、音やノイズが、初めからそうであったかのような必然性を持って入り混じっています。
アコギのピッキングやハーモニーなんかも凄いんだけど、それ以上に惹かれたのが、12音階からはずした音程の使い方。これがすごく上手で、音を揺らぎが様々な手段で効果的に使われているのが分かります。
6曲目「月たち」のアコギの揺らぎは、カセットテープMTR使ったのかなと勝手に予想しているんですが、この音程のずれ方が絶妙で気持ち良い!
5曲目「沼地」のガムランで使うようなピッチが甘い鉄琴みたいな楽器(これはなんていう楽器でしょうか)、これもすごく効果的です。
アルバム全体の印象は少し混沌としている。
でも、アルバムって、音楽って、それくらいがちょうど良いんですよ。
初めから掴めちゃう音楽より必ず長く楽しめるんです。
これは是が非でも日本でリリースしたいと思い、何人かの音楽業界に携わっている韓国人の知り合いやミュージシャンに”公衆道徳”について尋ねました。
みんなその存在は知っていたものの、申し合わせたように、「彼はこのアルバムをリリース後一切の公式的な活動をしていないし、誰も顔も連絡先も知らない」とのことでした。それが公衆道徳の韓国でのプレスリリースの宣伝文句なのかな?と思ったくらい皆同じことを返すんですね。
「なんかどこかで聴いたことあるような話しだな」「気になる人はこんな人ばかりだ」などと思いながらも、発売元のレーベルの連絡先を何とか掴みまして、無事、日本盤リリースまで漕ぎ着けたのでした。
Botanical Houseというレーベルをはじめて以来、自己顕示欲の無い宅録マニアが家で一人で作った音楽ばかりリリースしていて、今回の件で改めて自分が惹かれる音楽について思い知らされました。
で、この公衆道徳、本人が久しぶりにアコギを引っ張り出して録ったアルバムなんだそうです。
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公衆道徳 1st Album日本盤
1. 白い部屋
2. 地震波
3. パラソル
4. ウ
5. 沼地
6. 月たち
7. 多分
8. 結び目
2017年3月1日発売
BHRD-007
ジャケットは日本盤リリースに合わせて新しくしました。
韓国盤はCD、LPともに廃盤です。
日本盤CDはMaxiケース仕様となります。
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